チャールズ・エリス『敗者のゲーム なぜ資産運用に勝てないのか』 日本経済新聞社 1999年

言わずと知れたインデックス投資のバイブル

プロのテニスの試合はスーパーショットがいくつもきまり勝敗を分けるが、アマチュアの試合ではいかにミスを少なくするかが勝敗を分ける。(勝者のゲームと敗者のゲーム)

 

資産運用も同じで、プロ達が莫大な資金と膨大な情報をもとに戦っているマーケットという戦場で個人が勝つ事は不可能に等しい。更には、指数に勝つ事すら敗者のゲームだと著者は主張する。そんな環境下でそもそも何のための資産運用なのかと著者は投げかけている。

 

その為に、ひとりひとりオリジナルの長期の運用基本方針が必要なのである。

 

目先の利益だけを追求していては短期的に売買を繰り返してしまい、結果高値掴みになり、損を被る可能性が高い。更には取引の都度手数料もかかる。

 

大雑把に インデックス投資とは、指数を買って長期保有する事をいうのだが、プロのファンドマネージャーですら思うような成績を残せない現在の環境で、わざわざファンドマネージャーに対する人件費が組み込まれた手数料の高いアクティブファンドを買う必要はなく、市場に連動する指数を買う事で、低コストで効率的に運用ができるのである。

 

本著は繰り返し、長期の運用基本方針の重要性を説いている。

 

金利下で、少子高齢化や医療の発達により寿命が伸び続ける現代で、素直に働き続けるだけでは老後の生活資金を賄う事は難しいでしょう。

そんな中でも、日本人は資産運用に対して極度にアレルギーを持っていると感じます。「よく分からないから」「損をしそう」そんな声をよく聞くが、当たり前である。勉強してこなかったのだから。日本は海外に比べて極めて金融リテラシーが低い。米国では小学校のカリキュラムに投資の授業が含まれているそうです。では、勉強してこなかった私たちはそのまま無関心でいていいのでしょうか。

 

少なくとも、本著を読めばマネーゲームではない資産運用を学ぶ事が出来ます。

金融リテラシーに乏しい私達こそ本著を読み、お金に対して考える事が必要なのだと思います。