野口 悠紀雄 『戦後経済史 私たちはどこで間違えたのか』東洋経済新聞社 2015年

長引くデフレに悩み続ける日本。どこで道を誤ったのか、元大蔵省の著者が国内外の視点で綴った著書。

戦後の日本は極めて特殊な環境だった。国土が焼け野原となり、全てをゼロからスタートさせないといけない環境にあり、なおかつ人口も増えている。

 

一般には「戦後の民主主義改革が経済の復興をもたらし、戦後に誕生した新しい企業が高度経済成長を実現した」と言われているが、著者は「戦時期に作られた国家総動員体制が戦後経済の復興をもたらし、戦時期に成長した企業が高度経済成長を実現した」と考えている。これを1940年体制と呼んでいる。

 

そして、1990年バブルの崩壊の原因は、この1940年体制を必要としない世界情勢だったにも関わらず、相も変わらず推し進めてしまった事にあると主張しており、失われた20年と言われるこの長いデフレの中で安倍政権が行おうとする国家主導の経済政策にも疑問を呈しているのだが…。

 

うーん、そもそも日銀がこれまで何もしてこなかったからこんなにも長いデフレが続いているのであって、そこを安倍政権が後押しする形で消費者物価指数を伸ばしたのだから決して政策は間違ってないと思うんだけどなぁ。2014年に伸び率が腰折れてしまったのも消費税増税が原因であることは間違いないと思うので、あまり納得はできなかったかな。

 

そもそも、「まじめに働かなくても円安や金融緩和が継続すれば、日本経済は自然によくなる」と考えてる人なんているのでしょうか。著者はまじめに働くことが日本経済の復興の原点と主張してますが、働きたくても働けない人が多かった環境で、この理論は肩すかしをくらいました。現に安倍政権下で有効求人倍率も上昇し、完全失業率も下がってきてるしね。

 

あ、終身雇用制度の撤廃には賛成です。企業の為に働くのではなく、自分の為に働ける社会にも繋がると思います。

 

という事で初記事でしたが、自分の知識が少なすぎて、意見を発信しようにも根拠を明確化できなかったなと。もっと勉強が必要ですね。

 

最後に、本著は著者の経歴自慢が多くて読んでて苦笑いしてました。笑